ゴロ合わせから記憶術へ…
イメージ連想法
長いカタカナ語は分解して連結、ストーリーを作る
「記憶術は、ゴロ合わせで覚える方法ですか?」とは、よく受ける質問の一つです。ステップ①から③までで解説してきたゴロ合わせの方法は、確かに記憶術に似ています。でも、これは記憶術のほんの一部に過ぎません。記憶術には、ゴロ合わせの限界を補う方法や、ゴロ合わせとはまったく異なる方法があるのです。
ゴロ合わせだけでは、「覚えるべき言葉」を「つじつまの合う単語や語句」に変換するのに苦労します。どんなに柔軟な頭脳とアイデア力をもってしても、ゴロ合わせでは解決できないカタカナ用語はたくさんあります。たとえば、次のような長い地名を、あなたならどう覚えますか?
スリジャヤワルダナプラコッテ
繰り返し唱えて覚えても、すぐに忘れてしまいそうです。こんな場合は、次のように単語をいくつかに分解して短い単語の鎖をつくります。
スリジャヤワルダナプラコッテ⇒すり・茶屋・悪だな・プラ・凝って
このようにバラバラにして眺めると、それだけで覚えやすくなるものです。でも、この場合は5つも単語があるので、かえって覚えづらくなったと感じる人が多いかもしれません。そこで記憶術の手法が必要になってくるのです。
種明かしを続けましょう。「スリ・茶屋・悪だな・プラ・凝って」は実にうまいゴロ合わせになっています。こんなストーリーをイメージしてみてください。
イメージ・ストーリー(スリジャヤワルダナプラコッテ)
スリが稼業で、ふだんは茶屋を隠れみのにしている男(すり茶屋)が、何食わぬ顔をして店先でプラモデルをいじっている(に凝っている)。それを見たスリ仲間が「すり茶屋、(お主も)悪だな。プラ(モデルに)凝って…」と言ってにやりと笑った。
以上の情景を、「スリ・ジャヤ・ワルダナ・プラ・コッテ」と頭の中で1回唱えながら思い浮かべるのが記憶術のコツです。
このように、記憶術は単純なゴロ合わせに比べると、次の2つの技法が加わっていることが理解できるでしょう。
記憶術と単純なゴロ合わせとの違い 技法①: 頭の中に視覚的なイメージを描く 技法②: イメージをつなぎ合わせてストーリーを作る |
初めは難しいと思うかもしれません。特に上の例はカタカナ語を5つに分解していますから、なおさらです。でも、ほとんどの単語は2つか3つの分解で解決がつくのです。
2つのイメージを組み合わせて突飛な場面を連想する
今度はやさしい例で説明します。アフリカの東海岸に「イエメン」という国がありますね。これを知らなかったものとして、記憶術的に覚えるにはどうしたらよいかを考えてみましょう。「イエメン」からは、誰でも「家・面」か「家・麺」というゴロ合わせを思いつくのではないでしょうか。そこで記憶ストーリーを作ってみると、たとえば次のようになります。イエメン(家・面)⇒イメージ=家の前に巨大なお面が飾られている
イエメン(家・麺)⇒イメージ=家の中から麺(めん)があふれ出て来た
記憶術とゴロ合わせの違いがお分かりいただけたでしょうか。ゴロ合わせは言葉を一生懸命覚えるのに対して、記憶術はイメージを一瞬、思い浮かべるだけです。人間の記憶は、視覚的なイメージのほうが言葉よりもはるかに情報量が多くて、いつまでも忘れないという性質があります。記憶術はそうした脳科学的法則を利用したものです。
それでは「イエメン」の例にならって、練習問題を試していただきましょう。うまいイメージが浮かばない場合は、下の解答例を見ながらイメージを描いてください。
記憶術によるカタカナ語の練習問題 ①モーリタニア ②ビリニュス ③ エラスムス |
解答例
①モーリタニア ⇒ 森田・ニヤ イメージ=森田さんがニヤニヤしている(気持ち悪い) ②ビリニュス ⇒ ビリ・ニュース イメージ=ビリになったというニュース ③エラスムス ⇒ えら・スムース イメージ=(私の)えらがスムースに動くようになった |
なお、このページで説明した記憶術は「イメージ変換法」という方法で、記憶術の最も基本的な技術である「イメージ連結法(または結合法)」をある程度身につけてから練習する応用技術です。ですから、今すぐできなくても、段階を踏んで練習すれば誰でも短期間でできるようになります。
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